使用開始から15日程度経ったエバーカットですが、10日後の切れ味からは目立って落ちていません。
僕自身も少し切れ味の悪い包丁に慣れてきました。
10日目にしてパプリカの皮が切りづらくなりましたが、他の野菜は切れます。
肉のすじは難しいけど、すじの無い肉なら切れる切れ味です。
エバーカットを使っているうちに、ふと悔しいなと思うようになりました。
なぜ一流の包丁メーカーが集う日本で、このような包丁が商品化されなかったか?という思いです。
- 25年砥がなくていい包丁というキャッチコピー
- 人目を引きつけるデザイン
- 人に紹介したくなる商品
まさにこれですよ。
良く切れる包丁とは?
良く切れる包丁を分かりやすく説明している図を見つけたので転載させていただきます。
この他にも和包丁と洋包丁の刃の形状の違いなども詳しく記載されていますので興味のある方は見てみてください。
良い切れ味の刃物の先端断面を拡大すると左のようになっており(中略)1/1000mm程度ののこぎり状の凹凸が存在します。この凹凸により食材を切り裂き、削り取り、切り分ける効果が出てくるのです。ちなみに、先端をすべて15度に研いだ刃物とこの「小刃止め (小刃)」の付いた刃物の切れ味は全く変わりなく、切れ味試験機によっても差が生じません。この「小刃止め (小刃)」により、刃全体を15度に研いだ刃物よりも10倍程度の耐久性を得ることができるのです。
日本は刺身を切るという調理が発達している唯一の国ですから、素晴らしく切れる包丁が求められている背景がある訳です。
刺身は良く切れる包丁でないと角の立った綺麗な刺身が作れません。
日本の包丁メーカーが重点的に研究開発してきたのがこののこぎり状の凸凹をいかに長く持たせ、切れ味を維持するか、という事だと思います。
安い包丁でも研ぎたては良く切れます。数万円する包丁に引けを取らない位に良く切れます。
ただ安い包丁は値の張る包丁に比べて切れ味を持続できません。
ホテルや旅館などで、専門的に刺身を切り続けるような仕事に安い包丁を使うと、1日も切れ味を維持できないそうです。
だから切れ味が長持ちするいい包丁が必要なのです。
いくらいい包丁でも1日の仕事が終わったら必ず研いで翌日に備えるというのがプロの日常です。
刺身の調理文化があるから、日本のメーカーはこのような25年砥がなくてもいい包丁を商品化出来なかったのではないでしょうか?
「25年砥がなくてもいいと言っておきながら10日で刺身が切れなくなった草」って言われちゃいますからね。
マーケットの規模
ですが、家庭でも同じような切れ味が必要でしょうか?
家庭で魚を卸して刺身にする方は極々少数でしょう。
ほとんどの家庭ではここまでの切れ味は要らないですよね。
もちろん、すごい切れ味がメンテナンス無しで持続出来たら最高なのですが、それは不可能なようです。
例えるなら、チューニングされメンテナンスに時間がかかるレーシングマシンか、メンテナンスをあまり必要としなくてもある程度走れる車の違いです。
だから刃の材質をとりあえず硬く丈夫にする、鋭角な角度の刃を付けると摩耗が早いのでわざと鋭角な刃にしない。
ある程度の切れ味がメンテナンス無しで持続すれば良い。
これが家庭の求める包丁でしょう。
プロ向けより家庭向けの方がマーケットとしては大きいですからね。
エバーカットはそのニーズに答える包丁なのでしょうか?
現状、指で刃先をなでても指が切れない切れ味です。
ですが、もしこの位の切れ味を長期間維持できるのであれば、家庭では十分使える範囲だと思います。
包丁としての切れ味はイマイチでも、売るための商品としてはエバーカットは目の付けどころのいい商品でしょう。
けなしてるのか誉めてるのか分からない微妙なレビューになってきましたが、今のところ言えるのは
家庭で使うには十分な切れ味で25年砥がなくていいかもしれない包丁 エバーカット