せっかくいい包丁を持っていても砥石での砥ぎ方を知らないのは大変残念なことだ。高価な包丁でも砥がなければ当然切れなくなる。
安い包丁でも手入れが良ければよく切れ、長く使える。
料理をする人なら必ず覚えておきたい包丁の砥ぎ方を5つのポイントで解説していく。
①まずは砥石選び
砥石は荒砥石、中砥石、仕上げ砥石とあるが、基本的には中砥石のみで十分切れる刃が付く。
二面構造の砥石、中砥石と仕上げ砥石の付いたタイプを買うのもいいだろう。
中砥→仕上げ砥の順に使えばより鋭い刃が付く。
荒砥石は包丁が欠けてしまった時や長年砥がなかった包丁に刃を付け直すために用いるもので普段は使わない。
また使う前に数十分水につけておくのはどの砥石も共通だ。
②砥ぐ角度
角度は人によって、又は使用用途によって15℃やら45℃やらまちまちであるが、一度角度を決めたらそれを次回も、そのまた次回も継続していくことが重要だ。
刃の角度が鋭角であればある程切れるのだがその半面切れ味が落ちやすくなる。
切れ味重視なら大体コイン1枚から2枚分の厚さがちょうど良い角度。
耐久力重視ならもう少し包丁を立てて砥ぐ。
③どのぐらいまで砥げばいいのか?
それは刃に”まくれ”ができるまで砥ぐ。
まくれとは刃が砥がれて反り返ってくること。
ここまで砥げれば次の場所を砥ぐ。
④2分割して砥ぐ
ある程度の長さがある包丁は片面を2つに分けて、先端から根元までの長さを2分割して砥いでいく事が基本である。
3つに分けて砥ぐ方法はあまりお勧めしない。(30センチを超えるような長い包丁の場合は例外だが。)
理由は先端と根元を砥ぐ時のどちらでも、包丁の真ん中の部分は砥石に当たり砥がれるので特に砥ぐ必要はない。
真ん中も砥ぐように3分割してしまうと真ん中の刃は砥がれ過ぎ、極度にすり減ってしまいまっすぐな刃が維持できなくなる。
そのような砥ぎ方を長く続けていると先端と根元だけが残って真ん中がすり減り、ククリナイフのような刃が湾曲した包丁になる。
包丁を長く使い続けるためには守りたいポイントである。
片面を砥ぎ終えたら、包丁を右手から左手に持ち替えて裏面を砥ぐ。ここでもまくれができるまで砥ぐようにする。
まくれができたら、また包丁を元の右手に持ち替え、ここからはまくれの修正のため両面を交互に砥いでいく。
20回砥いだら裏側も20回、次は10回砥いだら裏側も10回などのように間隔を短くしていく事でまくれを小さくまっすぐに修正する。
⑤包丁の刃先
包丁の刃先1cm程の部分は刃が湾曲しているので通常の砥ぎ方だと砥げない。
ここは包丁を立てて刃先の部分だけ砥石に当てて砥ぐようにする。
これをやっておかないと刃先の切れ味も悪いし、のちのち刃先だけが残ってしまい切りづらい包丁になってしまう。
ペティーナイフなどの短い包丁
ペティーナイフなどの短い包丁は分割せず先端から根元までを砥石に当てて砥いでいく。
まくれができたら包丁を持ち替えて砥ぎ、仕上げに表、裏と砥ぐ間隔を短くしながらまくれを取り除いていく。
刃先は包丁を立てて砥ぐ。
骨透き 出刃(片刃包丁)
和包丁などの片刃包丁はそれぞれの包丁の刃の角度を維持して砥いでいく。
あらかじめ付けてある刃の面をすべて砥石に付け、まくれができるまで砥ぐ。
包丁を持ち替え裏面はすべて砥石にペタっと付けて(角度は付けない)まくれを取り除く程度に砥ぐ。
特に和包丁の場合は裏面は砥ぎすぎないように注意する事。
包丁は何を揃えるべきか?
ここでは洋包丁に限っての話。洋包丁は専門的で種類が豊富。
スモークサーモンやハムを切るための薄く長い包丁から、パン専用のギザギザの包丁、皮をむいたり野菜の形を綺麗に整える小型の曲がったペティーナイフまで多彩。
しかしながらとりあえず無いと困るのは牛刀か筋引き。
汎用性重視なら牛刀。この辺は好みの問題だ。
長さは家庭なら15センチから24センチがちょうどいい感じ。自宅のまな板の大きさに合わせよう。
業務用なら27センチか30センチは欲しいところ。
それからペティーナイフは細かい作業には必須。
魚や肉、骨を切るなどの下ごしらえから料理をする方は出刃又は骨透きが必要。
この牛刀、ペティ、骨透きの3本があればたいていの事には不自由しない。
あとは切れ味を手軽に復活させるなら砥ぎ棒とかシャープナーが必要。
料理し始めたのはいいが包丁の切れ味がいまいちって時に、砥石をわざわざ持ち出さなくてもささっと使える。
刃物は鋭いだけでなく刃をミクロで見てみると細かくのこぎり状になっているおかげで良い切れ味が出る。
包丁の切れ味が低下し始めた時はたいてい刃の細かいギザギザが無くなって切れなくなっていることが多いので、そのギザギザを付けるために使う物。
砥ぎ棒は慣れてないと全く効果を発揮しないし、手を切る心配もあるので慣れてない方はやめましょう。
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砥石は手が汚れるから使いたくないけど、包丁の切れ味は欲しいってわがままな方にはこちら。砥石専門メーカー「末広」とGLOBALが共同開発したシャープナー。
包丁を通すだけで滑らかな切れ味を回復させ、均一に刃を砥ぎあげるので砥石に慣れていない方にはおすすめ。
単なる簡易型シャープナーというよりも砥石で研ぐのとほぼ同じ効果なのが素晴らしい。
包丁は大事に使えば20年は持つので高品質の包丁を使うことをおすすめする。
良い道具は確かに値段も良いが、値段が高いと大事に使うようになるので愛着が沸く。
愛着が沸けば長くも使えるし、何より使っていて気分が良い、楽しい。
楽しければ料理は上達もするしおいしくもなる。