フランス人でこの料理を食べない人はベジタリアンか非国民である。
そんな世代を超え、誰からも愛される料理が"Hachis parmentier"
日本ではアッシェ パルマンティエと呼ばれるが、正式な名称はアシ パルマンティエといい、細かく刻むという動詞”アッシェ”と、細かく刻んだものという名詞”アシ”の違い。料理名にアシが付く場合は”残り物の肉を使った料理”という意味も持つ。
パルマンティエとは?
パルマンティエはフランスの薬剤師、農学者、栄養学者の名前で、フランスにじゃが芋を食用とする事を広めた人物である。
そのむかし、ジャガイモは人間の食べるものではなかった。家畜の餌だった。
1737年、フランス モンディディエ生まれ。七年戦争で軍の衛生兵として参加した時に捕虜になり、ジャガイモを食べさせられることになった。
1640年代の初めにジャガイモはヨーロッパに持ち込まれていたが、アイルランド以外では、家畜の飼料用で食用にされるのは遅れていた。
しかし、17世紀末近くなるとアイスランドの火山活動が活発化したことやヨーロッパのみならず全地球上が異常ともいえる低温期に入ったことなどから、火山灰土のやせ地や寒い土地でも栽培できるジャガイモがヨーロッパ全土に普及していくことになる。
一方でフランスではハンセン病を引き起こすと考えられていて、1748年には議会でジャガイモの栽培を禁止する法律が作られた。
パルマンティエは赤痢患者の栄養食のコンテストにジャガイモ料理を提案し、1777年に賞を得た。パルマンティエの努力でパリ大学の医学部はジャガイモの食用を承認したが、抵抗は続き、薬剤師として働いていた病院の試験農場の使用を禁じられ、病院に苦情が寄せられた。
また、じゃが芋の畑を兵士に護衛させて、あたかも特別な農作物であるかのように民衆の興味を引き、夜間には兵士を引き上げさせてわざと民衆にじゃが芋を盗ませたりし、フランスにじゃが芋を食用とする事を広めた。
今ではフランス料理に欠かせない野菜となっている。
とまあ、じゃが芋の普及に一生をささげた御方です。
彼の功績を称えフランスの数々のじゃが芋料理には”パルマンティエ風”と彼の名前が付けられています。
分量3人分
- 玉ねぎ 1/2個
- にんにく 1片
- マッシュルーム 3個
- 牛ひき肉又は合挽き 200g
- 水又はブイヨン 100ml
- じゃが芋 500g
- バター 100g
- ナツメグパウダー 少々
- 塩コショウ
- お好みのチーズ 20g
Hachis parmentier アッシェ パルマンティエ [Binaural Recording] - YouTube
作り方
1.玉ねぎ、にんにくをみじん切りにし、マッシュルームは小さめの角切りに。
2.まずは挽肉を炒める。合挽きでも可。
最初からほぐさず、フライパンでハンバーグのように焼き色を付ける。
ほぐしてしまうとフライパンの温度が一気に下がり焼き色が付きません。
この焼き色こそおいしくなるポイント。
3.焼き色が付いたらほぐし、玉ねぎ、にんにく、マッシュルームを加え軽く炒めます。
その後、水又はブイヨンを加え水分がなくなるまで煮ます。
その後塩コショウで味を調えます。
スパイスや赤ワイン、トマトなどを加えてもおいしいです。
煮詰め終わったらグラタン皿に平らになるように移しておきます。
4.じゃが芋の皮を剥き、2cmほどの角切りにし、水から煮ていきます。
沸騰してから13分ほど、フォークで刺してみて抵抗なく刺さるようならお湯を捨てます。
5.熱いうちにポテトマッシャーやフォークで潰します。
バターを加え、溶けるまでゆっくりと混ぜ、塩、ナツメグパウダーで味を調えます。バターを半量に減らし牛乳を代わりに入れてもいいでしょう。少しコクはなくなりますが。
ナツメグはなければ省略。
6.先ほどのグラタン皿に平らになるようにじゃが芋のピュレを入れ、好みのチーズをかけます。
7.200℃~220℃のオーブンで焼き色を付けます。
火はもう通してあるので焼き色を付けるだけです。
オーブントースターなどで表面だけ焼いてもいいでしょう。
アッシェパルマンティエに使われる肉は挽肉ではなく、残り物のロースト肉を使うこともよくあります。
もともとは余った料理を再利用するために生まれた料理です。
仔羊のもも肉のローストや鴨のもも肉のコンフィ、また牛肉の赤ワイン煮などの肉をほぐして作るなどのバリエーションがあります。
とはいっても日本では「昨日の晩のロースト肉が余ったので作る」と言う事はないでしょう。
作るとすれば、肉を救う為よりも、芽の生えてきたじゃが芋を救う為の料理でしょうかね。
関連アイテム