1月7日にパリの新聞社“Charlie Hebdo”に黒い目出し帽をかぶった男らが押し入り、カラシニコフと見られる自動小銃を乱射したという事件があった。
同日これによりパリを含むイル・ド・フランス州におけるテロ警戒レベルが最高レベルである「攻撃の警戒」に引き上げられた。
翌日8日にも、新たに警察官が男に自動小銃で撃たれて死亡する事件が発生した。
私の元にも在仏日本大使館から注意喚起のメールが届いた。
2015.1.7
渡航情報(スポット情報)
(件名)
フランス:パリの雑誌社に対するテロ事件の発生に伴う注意喚起
(内容)
1.7日11時半頃(現地時間),パリ第11区で,左派系雑誌社「シャーリー・エブド(Chalie Hebdo)」をカラシニコフ銃等で武装した2人組が襲撃し, 少なくとも警察官2名を含む12名が死亡,6人が負傷しました。 現在も犯人は逃走中です。
2.また,オランド大統領は本事件をテロと断定しました。さらに同日,パリを含むイル・ド・ フランス州におけるテロ警戒レベルが最高レベルである「 攻撃の警戒」(alerte attentat)に引き上げられました。
3.現時点では,犯人像は明らかになっていませんが,「シャーリー・エブド」社はイラクとレバントのイスラム国( ISIL) の指導者バクダーディーの風刺画をツイッターに掲載しており, また,犯人らは,犯行時「アラー・アクバル(神は偉大なり)」, 「預言者に対する復讐をした」と叫んだと報じられています。
2014年9月,ISILは,米国を始めとする「連合」によるISILへの攻撃を批判するとともに, カナダを含む世界の(スンニ派)イスラム教徒に対して,米国, フランス,オーストラリア, カナダを始めとする対ISIL連合諸国の国民を攻撃するよう扇動 する声明を発出しています(9月29日付け広域情報「 イスラム過激派組織による脅迫メッセージ発出に伴う注意喚起」 参照)。
4.ついては,フランスへ渡航・滞在される方は,以上の状況を考慮し, テロ事件や不測の事態に巻き込まれることのないよう, 最新の関連情報の入手に努めてください。特に, テロの標的となりやすい場所(政府・軍・警察関係施設, 公共交通機関,観光施設, デパートや市場など不特定多数が集まる場所)を訪れる際には, 周囲の状況に注意を払い,不審な状況を察知したら, 速やかにその場を離れるなど安全確保に十分注意してください。
テロ警戒最高レベルに
テロ警戒レベルが最高レベルである「攻撃の警戒」(alerte attentat)に引き上げられると、学校や公共施設前に路上駐車できなくなったり、駅や地下鉄、ショッピングセンターに警察や軍のパトロールが強化されたり、大きな施設の入り口でかばんの中身や身分証の提示を求められたりする。
それからパリに旅行に来た人なら一度は目にしたであろう、アサルトライフルFA-MASを抱えたフランス軍人数人がパトロールしている光景が今後頻繁に見かけることになりそうだ。
軍人は空港や駅構内、地下鉄の車両まで入り込んでくる。乗客はいたって日常的な光景であるように気にも留めないが、旅行客にとっては恐怖すら感じるであろう。
標的となった新聞社“Charlie Hebdo”シャルリーエブド
標的となった新聞社“Charlie Hebdo”は時事問題に風刺をきかせた記事を書いている新聞社で、特に風刺漫画などで色々な団体から抗議されている。
Charlie Hebdo Officiel | Facebook
Charlie Hebdo (@Charlie_Hebdo_) | Twitter
フランスのイスラム教徒と容疑者
今回の犯人ナイジェリア系のイスラム過激派であるとの見方が強い。
容疑者のうちの一人はシリアのイスラム国に戦闘員送り出す事に関与した容疑で逮捕歴があった。フランス国籍所有者のイスラム国への参加人員は1000人を超えているといわれている。
パリ市内でアラブ系北アフリカ系が多く住んでいるのが18区、19区、20区である。くれぐれも旅行の際はこの地域のホテルに宿泊しないことを勧める。
その中でも有名なのがバルベス地区である。私も1度だけは行ったが、白人は殆ど見掛けなかった。パリ市内なのに、ここは北アフリカかと目を疑うほどだった。
イスラム教徒の一般道を封鎖しての礼拝の動画
Shocking video ! Barbès Boulevard taken over by Muslims (Islamized Paris 8) - YouTube
バルベスでのデモの様子
Manif pro-palestinienne interdite: Très grave incidents à Barbès - 19/07/2014 - YouTube
日本では報道されてないがフランスでは繰り返し報道されていること
7日の事件の日に、イスラム教のモスクのイマム(教会でいう神父)15人が事件のあった新聞社を訪れ献花した。
テレビのインタヴューを受け、『テロリストは間違った教えを信じるイスラム教徒である。イスラムの教えには人を殺めていいと言う教えはない。』と、テロとイスラム教を同一視して欲しくないとのコメントをした。
街頭インタヴューに答えるイスラム教徒のインタヴューも同様、テロリストとイスラム教徒は一緒に考えて欲しくないとのコメントであった。
またこの事件に対するフランス各地で起きたデモでも[イスラム教徒はシャルリーエブドを支持する]と掲げている。
それでもイスラム教に向かっての攻撃は少なからず起きている。
フランスでイスラム教徒標的の攻撃相次ぐ、パリ新聞社襲撃後 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
フランスの移民
フランスは多くの移民を受け入れてきた。そして多くの移民は今ではフランスに順応している。フランス政府もフランスの文化や法を尊重するものは、移民として尊重を持って受け入れるとの姿勢をとってきた。
パリはどこの会社にもイスラム教徒がいるのが普通で、私の職場にも居る。が特に今回の事件で職場の雰囲気が変化した訳ではない。
だがすべての移民が順応している訳ではない。フランスに居ながらフランスに全く順応しない(順応しようとしない)移民も多くいるのが現実である。
往々にしてテロや事件を起こすのは過激派であってイスラムや極右組織の抗争が殆どであろう。
フランスが一番恐れる事
今回のテロのあとで一番怖いのが、このテロによって触発されて新たなテロが起こる事であろう
それを防止するためにもフランス政府はテロ警戒レベルを引き上げた。
そして今回の事件でフランス人に1986年、95年の極左の連続テロを思い出させた。凱旋門のゴミ箱に爆弾が仕掛けられたり、サンラザール駅での爆弾テロだ。
この年の連続テロによって、フランス人は恐怖し、外出や外食を控えるようになったという。
観光客も減る。観光大国のフランスから観光客が減るのはかなりの大打撃だ。
当然経済は滞る。飲食店は大打撃だったという。テロにおびえながら、『今日の夜は外食しに行こう』なんて気は起きなくなってくるので当然だ。
これと同じことが今起きようとしているのだと話している同僚もいた。
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