EMOJOIE CUISINE えもじょわキュイジーヌ

フランス在住のキュイジニエ(料理人)  レシピ,料理の科学,キッチンツール,フランス関連,その他雑記などを綴っています。 

料理の科学② ロースト

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前回記事の続きと補足から。

 

前回、肉表面を焼かずにオーブンに入れてもメイラード反応が起きにくく、肉の香ばしい匂いがせず肉の嫌な匂いが出てしまうと書きました。しかし、ダイレクトにオーブンにいれ肉表面にメイラード反応を起こさせる方法もあります。熱したフライパンの上に肉を乗せ、すかさずオーブンへ。

 

そうするとフライパンに触れている面から香ばしく焼けてくるので、その後焼けてない面を下にして香ばしく焼き転がしながらローストしていくという方法です。

 様々な肉の火入れ方法

そのほかも色々な肉のロースト方法があります。

表面を焼いてからオーブンに入れる基本的なロースト方法。

 

それとフライパンロースト。肉表面を焼きフライパンに蓋をして、野菜の水分の蒸気で火をいれていきます。ですので肉の表面が乾くこともなくしっとりとした仕上がりになります。

 

その他の方法として、肉を真空パックに入れ、低温60℃前後のお湯に数時間つけて置き、その後肉表面を炭やフライパンで香ばしく焼き上げる方法もあります。真空低温調理です。時間は掛かりますが均等に火入れされ、肉切断面がすばらしい色に仕上がります。近代の調理テクニックです。

 ローストする肉の温度管理

それと、私の動画では必ず肉は常温に戻してから火入れしていますが、レストランだとそうも行きません。注文が入ってから肉を冷蔵庫から取り出し焼いていくことが多いのです。

 

肉は当然冷たく4℃、5℃からのスタートとなります。20℃の常温に戻した肉とは16℃も差があるわけです。当然仕上がり時間が全く変わってきます。

 

それに、早く火をいれたいからといって超高温のオーブンに入れても、肉が熱を受けるのは肉表面からなので、肉の外側が加熱されすぎて、切ったときの断面が年輪の様な模様、肉中心は赤いが外側に行くにしたがって白く焼きすぎた状態になってしまうのです。

 

これを冷たい肉の状態から、均一に温度を上げていく方法もあります。

 

オーブンに数分入れその後常温に取り出し数分休ませ、またオーブンに数分入れ常温に取り出し休ませる。という作業を繰り返し行うという方法です。ゆっくりと火入れし、肉全体の温度を上げていくのです。

 

こうすることで肉中心部と肉の外側の温度差を小さく出来るので、すばらしい仕上がりになります。もちろん肉汁の流出も最小限に抑えられるのです。

 

これはカンテサンス 岸田シェフのロースト方法として有名です。

 

近い将来新しい肉焼き方法が生み出されるでしょう。

超高性能の電子レンジを使ったロースト法など。食品を均一に設定温度まで加熱できる電子レンジ。大事なのは均一な加熱と設定温度を超えない事。

これが開発されれば調理業界に革命が起きるでしょう。技術が必要だったり、時間の掛かっていたローストが電磁波低温調理によって誰でも簡単に完璧な火入れが短時間で出来るようになる。

技術大国日本なら、きっとそんなに遠い未来の話ではないかもしれませんね。


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